「人と自然の共生社会づくり」におけるAIの役割についての一考
「AIの画像解析によるコンクリート護岸の点検ソフト」なるものがすでに世の中に出てきたようです。https://www.yachiyo-eng.co.jp/government/pickup/gogango/
このシステムを取り扱っておられる八千代エンジニアリングさんは、河川等の水文学系が得意なコンサルさんです。
見本の動画を見ると、光の当たり具合も一定の単調な形状の河川コンクリート護岸でなので、今の時代、技術的にさほど難しくないのでしょうけど、時代は進んでいるなぁ〜と感じます。
均質な構造物はこれでいけるとして(これから期待することは、解析速度、取り扱える画像を増やす、作った画像を使いやすく圧縮する、検出結果を文字に起こして、報告書に自動転記するなどでしょうか)、自然素材や自然そのものの解析をいかにするかが、河川工学や森林林業に関わって来た(いる)人間としては関心があります。
もし、そういうことができるようになれば、「自然の営みを享受できる河川整備」や「目的とする機能が発揮できる森林整備」の設計そのものをできるようになるかもしれないとも思います。(優先順位、予算、投入可能技術力(≒or≠労働力・人工)などを鑑みて数プランを設計。ペルソナ化も?)
高度経済成長期あたりを境に、どんどん都市化が進み(幼少期の原体験を持つ人が減り)、全体として自然を読み解く力が圧倒的に衰えて来ているので、これからの土木や森林林業には特に必要な技術になってくると思います。良いか悪いかは別として人間の衰えたところを補ってくれるし、専門家が検討議論するときの参考資料にもなるし、師匠から弟子への技術伝承、技術者から国民やクライアントに説明する際にも使えるようになるでしょう。
もちろん、AIでは到底、人間の力に及ばないこともたくさんありますが(どこまで行っても人間と同じになる日は来ないように思います)、人間よりもAIの方ができることもこれから沢山出てくると思います。
人間が科学技術によって駆逐されるのではなく、科学技術の助けにより、もう一度自然と折り合いをつける技術を身につけて磨いていける足がかりになると。
平成に入って「人と自然の共生社会づくり」というのが頻繁に言われるようになりましたが(最近は下火でしょうか?)苦戦してきました。人と自然のつなぎ目に私のような人間とAIが一役買う世の中になるやもしれません。