森林プランナー内海美沙のブログ

「森のもったいない困った」×「みんなのほしい」を繋げたら、きっと林業はおもしろくなる!!林業をおしゃれにおいしく、おもしろく。森林プランナー内海美沙が現場からレポートします。

「第2回 中世木の家の裏の危険木整理と里山整備を考える会~地域周辺の山や木の困りごとの意見交換~」を開催しました。

先日、日吉町中世木にて「第2回家の裏の危険木整理と里山整備を考える会~地域周辺の山や木の困りごとの意見交換~」が行われました。

 

災害の多発も相まって15名ほどの方(集落人口の10%強)が参加され、中世木で深刻化している課題をどうやったら解決できるかということを、昨年度の活動報告も兼ねて話し合いました。「いま地域がおかれている森林管理の状況」、「危険木処理や崩れた道の責任所在はどこにあるのか」、「所有の問題、責任の問題」、「責任と権利と経済性と社会ニーズ」「木を売るにはどうしていけばいいか」「地域住民ができることはなにか」「どうするか」、長年の地域課題である「くろうの問題を解決に向かわせるべきではないか」等々、課題解決に向けた自分事としての意見が多く出たことは、中世木の森林管理にとっても大きな前進だと感じています。

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地域の人と森林管理に関して一緒に取り組めるようになってきた背景には、ひとつに「これまで後回しにすることのできた山や木の事」が、「もう無視できないほどの切実な課題となった」ことがあります。あまりに頻発する水、土、木による災害。山や木だけのせいではないですが、人命をも奪い兼ねない「安全な暮らし」を脅かされている状況への危機感。f:id:foresters:20181008214538j:plain

 

これまで山や木の困りごとがそれほど多くなかったのは、たくさんの人によるほんのちょっとずつの小さな小さな維持管理がなされてきたから。

きっとその頃はそれをわざわざ「維持管理」なんて呼ぶこともなく、「当たり前」の事として普通についでにやっていたのと思います。

 

私が初めて中世木の山の調査に入ったのはもう10年前。

あの頃はまだ「やまいき」世代がご健在でした。

おひとり亡くなり、またひとり亡くなり、、、

あの方は足が不自由になられ、あの方は山のほんの入り口までしか入れなくなった。

私に山のいろはを教えてくださった方はもうほとんど山に行けなくなり、

中世木の森林管理はこの10年でごっそり世代交代が起こりました。

 

安心安全な森との関わり。

そのために、今この地域のこの状況で何ができるか。

「木が売れて」、できれば「まつたけ」が採れた頃のように多様な受益をもたらす山になったらなお良い。

 

それぞれのできることとできないこととしたいこと。その折り合いをつけながら少しずつ紡みはじめた中世木の次の世代による森林管理。

苦節9年。ようやく芽が出始めていることを実感し、感慨深い気持ちでいっぱいです。

 

 

FTD デザインTシャツ出展中!!

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森林管理の次世代への継承にチカラを入れて取り組む日々ですが、ついつい現実逃避でデザインしちゃう。たまには息抜きを、、、w

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夏の山仕事にもピッタリな、速乾DRY Tシャツ。

展示品購入可です。これはレディースですが、どんなTシャツでもセミオーダーでデザインできます(*^ω^*) ただし、森林管理の合間で制作するので現在3ヶ月待ちです。

 

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『Tシャツ展2018in森の学び舎五ヶ荘』は8月31日まで開催(月祝休)。
 
 
 

南丹市議会でも「新たな森林管理」が焦点に

南丹市議会で「新たな森林管理に関する答弁」の様子がケーブルテレビで放送されていました。再放送もあると思うので、南丹市在住の方は是非見てみてください。
 
林家でもある柿迫議員さんの主張は、下記のような的を射た内容でした。

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森林組合は経営計画に基づく森林整備事業だけで手一杯。
・今の南丹市職員の数では全く足りない。
南丹市にある膨大な森林を、現在の林業従事者だけではまかないきれない。
・有害鳥獣対策で忙しい農林整備課。予算が増えたときに対応できない。
・行政にスリム化も大事だが、それでは地域の森林は管理しきれない。
・技術的にも量的にも人的資源を補充する必要がある。
 
京都府環境税は2000万円、国の環境税は同額以上入る。さて、それをいかに有効に使うのか。
 

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私も民間事業体の番頭さんと共に、「環境税使徒に関する提案」をしに南丹市農林整備課に行ったのですが、今のままでは前進しないなと感じ(反応が薄かったので)、次のアクションを考えているところでした。①市長さんに直接会いに行く②区長さんらと改めて農林整備課へ行く、が候補に上がっていましたが、③一度柿迫さんにお話を伺いに行くのが先かなと感じた今日の議会でした。
 
 
 
※森林バンクの映像はNHK視点論点より
 

仕事をしていくための「第3回ロープワーク高所伐採技師養成講座」7月〜8月に開講!!

「第3回ロープワーク高所伐採技師講習会(全6日間・土日コース)」の開催が決定しました!
今年も黒滝村Skyteamの梶谷さん、岡崎さん、森林プランナー内海の現場技術者3名でお届けします。
 
予定が合わず、去年見送った方もぜひご参加ください^ ▽ ^ノ
 
 

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他の講習会ではなかなか聞けない「ぶっちゃけ失敗談と儲かり談」、参加者全員で手の内明かし合い仕事の取り方を学び合う「本気の見積り実習」、「人育てと組織人としての上司への掛け合い方」、「現場担当者目線と事務所管理者目線」、「独立の成功例と組織に属するメリット」、「地域同業者との上手な付き合い方と協力関係の築き方」、「発注者やチーム状況に合わせた道具の選び方か」「リーズナブルに道具を仕入る方法」などなど、、、
 
単に技術習得を最終目標にするのではなく、「仕事をしていく」ことに重点を置いているので、初心者からベテラン、経営者の方、林業系から造園系の方まで幅広い層の方に満足いただける内容となっています。
 
私も主催者でありながら、むちゃくちゃ勉強になりました!!(まだまだ全然と言われそうですが、段取り力、見積もり力も向上しました!)
 

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なので、チェンソーマンだけでなく、プランナーの方や発注者の方にもぜひ受講いただきたい内容です!!!
 
森林プランナー内海美沙

続:血の通った森林管理システムと境界明確化。

5/13に投稿した、北信州森林組合視察のレポートの感想をいただきましたので紹介させていただきます。

 

foresters.hateblo.jp

 

 ーーー以下転載ーーーーー

内海さん

まず、レポートを残すことは重要だと思いましたね。


今の林業でこの行為が目立たないのに、手を変え品を変えて進むのは、単なる結果しか見ていないことになっていまいますからね。

 

境界明確化は所有者に「自分の森林」を意識させる第1歩であり、これなしでは持続可能には結びつかないですからね。

 

国会では新たな法案が成立しそうな感じですが、伐採しないことはやる気がないと決めつけた法案は非常に不安。所有者の意識をさらに低下させるものですから。

所有者のことを考えながら進んでいくことが、血の通ったことに通じているのでしょうね。

 

ーーーここまでーーーーーーー

 

ご本人は走り書きのメモのようなものだからと言っておられましたが、私では表現しきれていないご意見だと思ったので、許可を得て掲載させていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

もっとある!北信州森林組合のすごいトコ〜何げない実務編〜

信州森林組合は、その優れたマネジメント力、「林業のICT化」、「高効率な森林管理」などに注目が集まっており、視察に行っても、ついついそちらに目がいってしまい「それに圧倒されて終わる。」という風になりがちではないでしょうか?

私も途中、そこに飲み込まれそうになり、「夢と希望」が広がる一方「途方も無い無力感」を感じ諦めたくもなりましたが、今日から取り入れたい、と入れることができ素朴な要素がいっぱいだったので、ご紹介します。

 

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①受付の女性が一流企業並み!!

北信州森林組合を訪れると、まずはチェンソーアートの作品たちが出迎えてくれ、少し緊張を和らげてくれます。(大企業でもエントランスに芸術作品とかならんでますよね)

そして、自動ドアを一歩入るとそこには大企業の受付を思わすような、素敵な女性が笑顔で出迎えて下さいます。

計5名ほどの女性スタッフは皆さん素敵な笑顔で対応して下さいます。清潔感溢れる身だしなみ、控えめだけどキラリと光る美しい笑顔、その立ち居振る舞いとさりげない身のこなし。。。。

女性として見習うところがいっぱいでした。(その1%だけでも身につけたいものです)

社員証も森林組合林業関係各機関では見たことのない、一般企業のようなシュッとした社員証でした。よく見る木の名札もいいですが、顔写真入りでわかりやすく、これもまたいいなと。。。

 

②団地ファイルの書庫のサイズと整理整頓がすごい!

現場の団地資料をちょうど探しやすい、コンパクトで機能的なウォークイン資料庫。

いずれは手狭になるかもしれませんが、元喫煙室を利用した風通しのいい書庫は、億劫な資料探しを快適なものにしてくれそうな空間でした。

(とはいえ、外からチラッと3秒ほど見えただけで、半分推測で書いているので、今度は中も見せていただきたいなと思っています)

 

③測量の「測点名」の付け方がクレバーそう。

測量を行う際いつも悩むのが測点名を付け。資料を見せていただいていると、その点名のつけ方にも、何やら工夫がありそうでした。

次回は測量にも同行させていただきたいとかんじました。

 

④施業後の林内が歩きやすい

全幹出すので林地残材がない!根元ギリギリで伐倒し2m材で搬出。だから切り株もあまり目立ちません。

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並材の産地だからと言っておられましたが、ここまで全部出すのは私はみたことがありませんでした。全部の現場で行なっておられるか、班によって違うのか、、、これも次回のチェックポイントとしておいておきます。

 

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他にもきっとたくさんあるのだろうなぁ〜!と、次回の訪問が楽しみでなりません。 

 

 京都やまもり協議会

内海美沙

 

「森のもったいない困った」を山主さん、地域の方と共に価値に変えた日@中世木

今週の中世木。

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チェンソー製材で、天絞とヒノキの板を挽きました。
ムッチャ美しい!!!


天絞の板!!ムッチャ美しいです!!
あの曲線美。美しい。たまらないです。

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今日は家の裏の困った木が価値に転換された記念すべき日♪


感激しすぎて、またしてもウルウル来ちゃいましたが、今日は泣かなかったですよp(^へ^)q

 

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山主さんが幼少期に、お父様と植えられた木。
小さい頃、枝打ちした跡もしっかり残っていました。

 

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「あの時植えた木がこのような板になるとは感無量です。しかも、あの時とは全然違人たちと一緒にやっている。何か不思議な感じですね。」山主さんの言葉が心に染み渡ります。

山主さん、家の人、近所の人、木こりさん、私。
と、見学に来た友人親子と近所の人5人ほど。

 

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私の大好きな中世木に、山を見る人、山に入る人がちょっとずつ増えてきているのが本当に幸せです。

「森のもったいない困ったをみんなのほしいにつなぐプロジェクト」 今日も一歩前進!!!(たぶん)

こんな風に書いても、扱っている量はほんのちょっとだけ。。。価値に変えても、実は慰めにしかなっていない。。。

ほんの少しだけだけど、「価値に繋げれたという感動」を覚えると同時に、こんなにも沢山の宝物があるのに、価値に繋ぎきれない自分の不甲斐なさも感じています。

 

 

皆さんも一緒に価値に変えて行きませんか??

 

 

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ーこの木の経緯ー

2年前、家の裏の危険木について家の人から相談される。
伐採すべきか、止まるべきか調べまくり、聞きまくり、考えまくる。

2年前、山主さんと家の人との話しが付き、危険木伐採を依頼される。負担が少なくできる方法を探しまくる。

昨年夏、高所ロープワーク伐採技師養成講座のリギング実習の中で天絞5本切る。

今年1月、里山保全事業を使わせていただきヒノキ80本を伐採。

本日、チェンソー製材で板を作成。

今後、ウッドデッキ用テーブル、森直ざっくりまな板、ベンチにしていけたらいいなと思っています。

 

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残りの板の嫁入り先も募集します♪
※一部予約済み